贈与税の概要
贈与税(暦年方式)の概要
[1] 贈与税は,個人が個人に対して贈与した場合に課される租税です。受贈者の立場からみれば,一時所得たる性格を有します。この意味では,立法上は所得税を課するということも考えられるところです。
しかし,実際には,この贈与は,親(被相続人たる地位を持つ者)が,その子供(相続人たる地位をもつ者)に対して生前に行われることが多く、つまり,相続税を回避するための一つの方法として取られることが現実です。よって、贈与税が相続税法において規定され,かつ,所得税においては贈与税が課せれるべき一時所得は課税しないこととしているのは,このような理由に基づくのです。
[2] 暦年課税方式による贈与税の概要は,次のとおりです。
① 納税義務者は,個人から贈与により財産を取得した個人
② 課税価格は,その年中に贈与により取得した財産の価額の合計額
③ 基礎控除等は,年110万円(措法70の2の2)
なお,婚姻期間20年以上の夫婦間において居住用不動産の贈与があった場合は,別に配偶者控除2,000万円を控除できます(相法21の6)。なお,平成21年では経済危機対策の一環として租税特別措置法の一部改正が行われ,住宅取得等のための金銭の贈与を受けた場合に一定の要件の下で500万円までの贈与税を非課税とする措置が講じられ,平成22年度改正では贈与を受けた当該年の所得金額が2,000万円以下とする所得制限が付されたうえで,非課税限度額が平成22年は1,500万円,平成23年は1,000万円に引き上げられました(措法70の2)。
④ 税率は,配偶者控除,基礎控除後の課税価格200万円以下の部分に対する10%から1,000万円超の部分に対する50%までの超過累進税率となっています。
⑤ 非課税としては,特別障害者に対する贈与税があります。すなわち,特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約に基づき金銭,有価証券その他の財産が信託されたときはその信託受益券のうち6,000万円までの部分は非課税となります(相法21の4)。
⑥ 生命保険等に関しては,保険事故が発生した場合に当該保険契約に係る保険料が保険金受取人以外の者により負担されたものであるときは,相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合を除き,保険金受取人が取得した保険料に相当する部分は贈与により取得したものとみなされます。
⑦ 申告は,前年において贈与を受けた額の合計額につき行い,その申告期限は,当年2月1日から3月15日までとなっております。